沈黙する小さな景色
あの大きな地震から4年経ち今東北の沿岸部の景色はどうなってるだろう。
と思い、見に行ってきた。
南相馬、福島第一原発付近を通過しするとき奇跡的に車を止められそうなところを見つけた。普通の、いわゆる地方の国道の景色はゴーストタウンと化して、数百メートルおきに警官が配置され、異様な緊張感がただよっていた。
例の「黒い袋」がそこらじゅうに積まれたまま、時間の流れは私たちの生きてる世界とは違うように感じた。
途中立ち寄ったコンビニには除染の作業車だらけ。まずいところに来てしまった。気まずさと僅かな心細さを覚えながら、これは今見ておく現実の偽りない姿なんだと言い聞かせる。
重たい空気の南相馬を抜けて、相馬駅に着く頃には空が真っ赤に染まっていた。
今回のもう一つの目的は常磐線の不通区間、仙石線の新旧ルートの一部を見ることだ。
常磐線において、途切れた路線をつなぐ市民の足はシャトルバスのようだ。常磐線の他にも災害でダメージを受けたローカル線ではこの運営が一般的らしい。
さすがJR。しっかりしたバスだ。不思議な光景だがそれほどの不便もないのだろう。むしろ不自然に感じたのはラッシュアワーにもかかわらず、異様な車通りの少なさ…こんなもんなのかな。
常磐線は17年に再開が発表されたけど、気仙沼線のように復旧を断念された路線もある。ひとつの日常に幕がおりた。
話は変わるけど、相馬港の夜景はうつくしかった。
人気のない港で作業船や重機だけが黙々と動いてる。(あんま長居すると閉じ込められます。。車は幹線道路沿いにおいて、徒歩で散策するのがよいです)
その日は仙台市内のネカフェに一泊し、朝銭湯をして仙石線を見に。あいにくの雨。
国道45号から県道27号へ。復旧した陸前富山で運良く下電車にお目にかかれた。キハを期待したのに、すでに引退ずみとのこと…。や、あたらしい車両のほうが乗り心地いいだろうし、いいんだけどね。うん
そのまま27号をすすみ東名付近までくると新ルートのおおきな橋梁が現れる。いかにも頑丈そうな橋脚部…これはこれでかっこいいんだけど。
湾に突き出した県道沿いに「←野蒜駅」の標識。ここか。
かつての踏切跡。その先にあったらしい線路はたくましい生命力の草木に飲み込まれていた。
まだ微かに線路の存在感が残るけどあと5年もたなそう。津波でレールごと流されしまったから仕方ないか。
周囲の暮らしは再建され始めたようにみえるけど、依然こんな状態のものも…
この家?は表札がしっかり残ってるのに家本体がない…住人はどうしているのだろう
行ってみると結構衝撃的なことが多い。とはいえ、じわじわ、一歩ずつ、沈黙を保ったまま人は暮らしをつなげていくことができるようだ。